代理人記録
ちょうど一年前の映画の日に『20世紀少年~第一章~』を観た。原作も読んでいないし、特に観たい映画でも無かったのだが、映画の日直前に公開されたばかりの新作だったし、何よりこの映画の主人公達は我々の世代そのまんまって事で、映像的に”三丁目の夕日”に似た、懐かしい昭和を再現したシーンのオンパレード、あるいは、忍者ハットリくんの仮面(ナショナルキッドの仮面は世代的に、ちょっと違うような気がするが)を初めとする、数々のTV番組、アニメ等のパロディーネタ満載、そして何よりも第二章からは登場する大阪万博の懐かしい映像等、私の幼心をくすぐるシーンのオンパレード!って事で、ストーリーよりも、そう言ったノスタルジックな映像に釣られて、何時しか”20世紀少年ワールド”に染まってしまったのだった。まあ、我々こそ本当の20世紀少年だったもんなあ。
あれから1年(第二章は今年の2月の初めに見たので7ヶ月?)、漸く”20世紀少年~最終章~”が公開されたので、またまた公開直後の映画の日に、早々に観て来た。上で書いたように個人的には原作も読んで無いし、ストーリー的にもそれほど魅力を感じ無かったので、興味の的はただ一つ”ともだちの正体は誰?”って事ぐらいしか無い。
ちなみに”20世紀少年~第一章~”のサブタイトルに”終わりの始まり”ってのが付いているのだが、このサブタイトルを聞くと海外ドラマ”LOST”のファンなら誰もが頭に思い浮かぶのがシーズン3の最終回の驚愕のラスト!それまで・・・だと思っていたのが、何と・・・だったと言う、現時点では”LOST”の中の最高のエピソードになっているのである。”20世紀少年”とは全然、関係無いお話でした・・・。
こちらは映画チラシに載っている、映画出演者と原作のコミックと対比させた一覧。これを観るとコミックのキャラをかなり正確にイメージして作っているのが良く判る。果たしてこの中に”ともだち”が居るのか?
で、映画の中身。最初から全三部作として作られた映画なのだが、それぞれの作品の時代が違う事もあってか、何か一作品毎の雰囲気が違うような気がする。とりあえず謎ばかりが散りばめられていた第一章、新たな登場人物が増えた割に盛り上がりがイマイチだった第二章、そして”ともだちの正体”を明かす為に、過去の謎をちょっとずつ明かして行く第三章って感じで、この映画の売りである?”本格科学冒険映画”っぽい要素?が一番出ていたのがこの作品ではなかろうか。かと言って、ストーリー的には大して盛り上がる風では無く、途中、”ともだちの正体”を観客にミスリード?させる為のネタ振りがあるものの、そりゃ無いだろうと言うのが容易に判る展開。まあ、相変わらず、昔のTV番組や時代背景のパロディネタや、ちょこっと顔出すだけのゲスト出演者等、小ネタ満載で、昭和世代としては中々楽しい。まあ、万博ネタだけでも結構楽しい!ってのが、個人的な感想でもあるのだが・・・。
で、結局”ともだちの正体は?”ってのはネタばれになるので書かないでおくが、映画の中で”ともだち”がマスクを脱いだ後姿のシーンが何回か登場するのだが、その頭の輪郭を見ると、誰が演じているのか、役者さんその者に気付いてしまった。まあ、映画的には途中では違う役者さんを使って、観客の目を眩ますと言う手を使う場合があるのだが、この映画では私が思った通りの役者さんが、そのまま”ともだち”の正体だった。まあ、映画の最後の10分に”ともだち誕生秘話”っぽいストーリーがあって、それを見てこその”ともだち”なので、役者さんが判ったとこで、何で彼なの?と言うところまでは判らないのだが・・・。
ちなみに、その昔の映画で私の大好きなヒッチコック監督の名作『サイコ』では、あの超有名なシャワーでの殺人シーンは、予告編と本編とは違う女優さんを使って、予告編を観た客を巧みにミスリードして、本編を観た時に、更なる驚きを加える演出があったのだった。そう言う意味からも、ヒッチコックって凄い監督さんなのよねえ。
話はそれたが、世間で”ともだちの正体”が洩れ伝わる前に?って事で”20世紀少年~最終章~”を見て来たのだが、然程驚くほどの事も無く、ああそうなの?って言うだけのラストだったかな?結局は推理作家アガサ・クリスティの名作”そして誰もいなくなった”を超えるような、どんでん返しってのは、誰も思いつかないのだろうねえ。まあ、こう言った犯人当て物って、限界があるのは確かで、特に今回の映画は子供の時の誰かが犯人?って事で、ある程度絞られてしまうからなあ。まあ、一年前からの思いっきり長いネタ振りの2時間ドラマ?を観たような印象であった。ただ、春波夫の唄と、ケンジの唄だけは頭にこびり付いてしまったが・・・。